お気に入り手品アイテムをひたすらレビューするブログ

愛してやまない手品道具について語ります。

Garret Thomas “Any Questions”

ギャレット・トーマスの『Any Questions?』。まだ新人だった頃のギャレット・トーマスにフォーカスを当てたレクチャービデオ。どれもこれも印象的でワクワクするマジックばかり。残念ながらDVD化されていません。
オープニングタイトルで軽くコンタクトジャグリングをやってるのですが、これがまたカッコいい。わたしはこのVHSでコンタクトジャグリングを知って練習しようと思った次第。

それでは、中身を一つずつ見ていきます。

1、リングシング(超オススメ!)
外した指輪が瞬間的に指に戻るトリック。外した指輪が戻る現象はおそらくこれが元祖だと思われます。ルーティン化されているものとしては水沢克也氏のフォーカスが手順的に完成されてるので、いわゆる『現場』で使えるマジックをやりたい人はそちらを参考にしてください。
しかし、ギャレット・トーマスのこの、なんなんでしょうか。指の動かし方がめちゃくちゃ滑らかで、指輪を抜いたり、両手を改める動作の中にも美しさと個性を感じます。この人のコインマジックもそうですが、こうした現象の外で行われる所作ひとつひとつが人を魅了する気がします。

2、Soft Salt
これオチを言っちゃうと多分ダメなやつなのでぼかしますが、現象は消えるハンカチーフのバリエーションです。現象は面白いのですが、自分はこれを演じる機会がありません。というのも、自分が演技をする場所に塩瓶がありません。自分で用意した塩瓶でやると、面白さが激減するのでやる機会が全然ないのです。で、ソルトアンドシルバーというコインが塩瓶の下に移動するという現象と組み合わせれば面白いのかな? と、ふと思ったのですが、多分、というか絶対に現象が散漫になると思うので止めました。

3、Threasy
現象自体はコインプロダクションですが、最初は「このコインは右手と左手のどっちにある?」という導入で始まります。ぬるぬるした手順で面白いです。シェルとフリッパーを使用するのですが、ダブルシェル(3CM、Triple Threat、triad coin)でも同じことができるので、持ってる人はやってみるといいかもしれません。思いのほか観客が食いついてくると思います。

4、GT3FLY

ギミックを使います。フリッパーとシェルです。スライト童貞でもこれだけのスーパーギミックがあれば自動的に不思議なことが起こせるぜへへへと思っていたら、そうは問屋が卸しません。めちゃくちゃ難しいです。しかし、最後の一枚のバニッシュが綺麗に完璧に消えるのでめちゃくちゃ不思議です。このバニッシュはとても素晴らしいです。ただ、ルーティンとしてみるとやっぱり難しすぎるし、途中ちょっとモゾモゾ感あるし、シェルだけの手順でいいんじゃね? とも思います。とにかく最後の一枚を消すところがかなり怖いです。失敗するとギミックをオシャカにする可能性があるので、練習が必要です。カイジの鉄骨綱渡りみたいなスリルが好きな人向けです。技術的には、このVHSのトリで解説される有名なビッグコインリトルパースよりも難しい気がします。

5、switchless-ptc
シガースルーコインのスイッチ方法です。スプリング式のシガースルーコインをスイッチする時に使用されています。結構気を使うスイッチで、個人的にはあまり好みじゃないです。

6、ナックルバスター(超オススメ!)

薬指を引っこ抜きます。完全にちぎれてます。手の平と甲の両面を改めます。ちぎれた指を押し付けると元どおりになってます。
すごく好きな現象です。指の軟体運動みたいな現象なので、柔らかくなるまでちょっと時間かかりますが必ずできるようになります。角度が際どいので、そこは要研究です。めちゃくちゃいいマジックです。親指切る手品の後にやると驚かれます。

7、マッチバック
マッチブックに一本だけマッチが入ってて、火をつける。そしてマッチブックを再度開くと新品の状態になっている。
これはすみません。人前で演じたことがないです。ネタが単純すぎて、あんまりやる気になれない。

8、blind’em and find’em(オススメ)
アホみたいに頑丈に目隠しをしてカードをバラバラに切り混ぜてスペードのエースからキングまでを順番に抜き出していく。さらに全てのマークと数字が1から13まで順番に揃っている。

この手のルーティンは約束された面白さがあります。演技自体はフォールスシャッフルとフォールスカットができればいいので、出し方は好きなようにやればいいと思います。これのキモは滑稽な目隠しをするという絵面にあり、いかに道化を演じられるかで、面白さが全く変わると思います。それ故に技術的なことより、パフォーマーとしての能力が問われるマジックのような気がします。こういう類のマジックはめちゃくちゃ好きです。

9、Big coin Little purse(超オススメ)
このビデオのラストを飾るトリックだけあって派手で本当に面白い。コインを揉むと大きくなったり小さくなったりします。大きくなったコインを小さなパースに押し込むと四次元に吸い込まれるようにスルッと入ってしまいます。再びパースからコインを取り出すのですがジャンボコインが二枚も出てきます。ありえません。さらにジャンボコインをこすると巨大なマンモスコインに変化します。

ゴッシュマンパースとジャンボコインとジャンボシェルとマンモスコインを使った手順。
こういうドラえもん現象って、どうしてこんなに人を惹きつけるんでしょうか。
ギャレットトーマスのペットトリックだけあってめちゃくちゃやりなれてます。ずっと見ていられる面白さ。めちゃくちゃ難しいし、タッチの問題もあって本人以外がそのまま演じるのは難しいですが、練習してる時間が幸せになれるルーティンです。

【総評】

何故、DVDで出さないのか!

素晴らしいレクチャービデオなのに!